オルゴール・展示収蔵品
オルゴールのルーツ
中世ヨーロッパ。宗教行事の作法、
祈祷の時間・聖務日課が厳格に定められていた当時、
人々は教会の鳴らす鐘で時間を知りました。
14世紀になると機械式時計の考案により多くの時計塔が建立され、
時報の鐘を自動で鳴らすメカニズム『カリヨン』が作られます。
木製の円筒にピン(杭)を埋め込み、このピンが板(キイ)を動かすのと連動し
ハンマーが 音階の異なる鐘を鳴らすというものです。
【音楽を記録する】ことの始まりです。
15世紀、『ゼンマイ』の考案により時計技術は急速に進歩しました。
時計の機構はどんどん小型化・複雑化してゆき、
複数のベルを用いる自動演奏機能を備えた置時計等も登場しました。
懐中時計にベルを使った自動演奏機能を組み込もうという試みもありましたが、
その限られたスペースに複数個のベルを組み込むことは難しく、
そこで小さな金属板に調律を施し弾き鳴らす『櫛歯』が誕生しました。
1796年には、スイス・ジュネーブの時計職人アントワーヌ・ファーブルによって
世界初の『オルゴール』が制作されます。
その後スイスはオルゴール製作の中心地となりました。
櫛歯の改良・アレンジ、ベル・ドラム・オルガンを加える等といった
試行錯誤を繰り返しオルゴールは更なる演奏表現力を身につけていきます。
1886年、ドイツ・ライプツィヒのパウル・ロッホマンが
「ディスク式オルゴール」という新たなメカニズムを考案します。
「より多くの曲を、より安価に楽しみたい」というニーズに、
基本的に1点ずつオーダーメイドで作るシリンダー式では応える事は出来ず
そこで、量産可能且つ楽しめる曲に限りがないメカニズムとして「ディスク式オルゴール」が考案されます。
1台の機械でも、曲の記録された金属製ディスクを交換していくことで楽しめる曲に限りはなくなります。
1877年、トーマス・エジソンにより円筒型蓄音機が考案されます。
その後、1887エミール・ベルリナは円盤式蓄音機を考案。
音楽を楽しむツールとしてオルゴールと蓄音機の競争が始まり、
それに破れたオルゴールのメーカーは1920年頃へかけて製造規模を縮小、
そしてその製造を終了しました。